帯状疱疹後神経痛
SHINGLES
帯状疱疹後神経痛とは

帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹による皮膚の発疹(水ぶくれなど)が消え、病変自体は治癒した後も持続する痛みのことを指します。帯状疱疹の代表的な合併症の一つであり、発症率に関する報告では、発症から3か月後で7~25%、6か月後で5~13%の患者に見られるとされています。
この痛みは、帯状疱疹の皮疹が消えた後も、水痘・帯状疱疹ウイルスによって神経が損傷を受けていることが原因で、長期間続くことがあります。
症状
帯状疱疹後神経痛の主な症状として、「焼けつくような持続的な痛み」や「一定の間隔で刺すような痛みが繰り返し起こる」ことが挙げられます。また、ヒリヒリ・チクチク・ズキズキする痛みや、締めつけられるような感覚、電気が走るような痛みを感じることもあります。
さらに、皮膚の感覚が鈍くなる「知覚鈍麻」や、軽く触れるだけで強い痛みを感じる「アロディニア」といった症状が現れることも少なくありません。帯状疱疹後神経痛は、こうした多様な痛みが入り混じったり、時間の経過とともに変化したりするのが特徴です。
帯状疱疹後神経痛の治療法
帯状疱疹後神経痛には、誰にでも当てはまる絶対的な治療法というものはありません。患者様の生活背景、治療に対する反応性などにより痛みが異なるため、薬物療法を中心に、神経ブロック療法や日常生活の注意などを説明させていただいて治療しています。
発症してから時間が経っている帯状疱疹後神経痛を完全に治すのは難しく、治療は長期間かかります。そのために、いかに痛みをコントロールしてうまく痛みと付き合っていくかという観点で治療に取り組むことが大切です。
-
神経ブロック療法
神経ブロック療法とは、痛みの原因になっている神経の近くに局所麻酔薬を注射する方法です。神経ブロックには三叉神経ブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロックなど多くの種類があります。痛みの原因になっている神経を特定して、最も適切な神経ブロックを行っています。使用する薬剤は主として局所麻酔薬や抗炎症薬ですが、薬剤以外にも高周波で神経ブロックをすることもあります。
-
薬物療法
神経の過敏化を抑える薬、痛みの認識を調整する薬、痛みの伝達物質に作用する薬など、様々な角度から痛みに対処する内服薬を組み合わせます。
予防・改善のために
帯状疱疹後神経痛は主に神経ブロックと薬物療法を併用して治療しますが、痛みを完全に取り除くのは困難なこともあります。しかし、生活習慣を工夫することで痛みを軽減し、痛みと上手に付き合っていくことができます。また、2016年3月より、50歳以上を対象とした帯状疱疹発症予防のためのワクチンが接種できるようになりましたので、ご相談ください。
日常生活の注意点
- 趣味に熱中したり、積極的に外出し、痛み以外のことに集中する
- 入浴して体をよく温める
- 体を冷やさない
- 使い捨てカイロなどで服の上からじわっと温める(直接皮膚に当てないでかすかに暖かいくらいがよい)
- 疲労やストレスをできるだけためず、睡眠は十分にとる
- 早期には患部を刺激しないようにする(衣服でこすれないようにサラシを巻くなど)